「帰ろうとした瞬間のストレスをなくしたい」関西大学総合情報学部から始まるキャンパス革命

関西大学高槻キャンパスでは、XDキャンパス構想を進めています。DXの誤記だと思って色々な書類には、DXと書いてしまったことは秘密ですが、XDで正しいようです。なぜ、XDなのかは、関西大学ITセンター年報教育・研究報告にある「高槻キャンパスXDキャンパス構想」を読んでみてください。このXDキャンパス構想の実現に向けて、学生主導で生まれたのがSojoLIVEです。
学生の「不便」から生まれたイノベーション
「次のバスは何時?」「今のバス停の混雑状況は?人がいないなら帰りたいし混雑しているなら、課題をやって帰りたい。」大学での意思決定には情報不足による迷いや選択の失敗があります。バス停に行って予想以上に混雑していたり、次のバス時刻を調べなければならないのは、純粋に不便でしょう。関西大学総合情報学部では総合情報と名乗ってはいるものの、この不便を解決する情報が不足していました。
特に高槻キャンパスの学生にとって、帰宅時のバス待ちは日常的なストレス源でした。授業が終わった瞬間、「すぐに帰れるのか、それとも次のバスまで時間があるのか」がわからないため、多くの学生が無駄な時間を過ごしていました。
関西大学総合情報学部の学生たちが日々感じていたこうした小さなストレスが、今回の革新的なリアルタイム情報配信システム「SojoLIVE」誕生のきっかけです。
プロジェクト始動:便利にするためのコストと技術的挑戦
SojoLIVEは、ソフトウェア・ハードウェア開発を中心に活動しているHITDesign Groupが中心になって開発を行いました。

どのように見せる?:キャンパス全体を1つのシステムとして
データを収集することはシンプルです。しかし、データを価値ある情報として見せるためには、デザインが必要になります。そこで高槻キャンパス全体のあらゆるデータを収集できるプラットフォームを作成して、その上にSojoLIVEとしてサービスを提供することにしました。そのプラットフォームがSojoOneです。
SojoOneAPI:データドリブンキャンパスの基盤
データを集めて収集するだけでは、価値のあるサービスを作成することはできません。SojoOneではSojoOneAPIとして収集しているデータを自由に利用可能にするためのサービスを提供しています。
提供データの詳細
リアルタイムデータ
- 食堂混雑状況:L棟食堂の座席利用率を15分間隔で更新
- バス運行情報:高槻市営バスの位置情報と遅延状況をGPSベースで提供
- 施設利用状況:教室、図書館、実験室の利用可能状況
- イベント情報:学内イベント、講演会、サークル活動情報
アーカイブデータ
- 過去6ヶ月分の混雑パターン分析データ
- 季節別・曜日別・時間別の利用傾向
- 気象データとの相関分析結果
- 学事暦との連動データ
API設計の特徴
SojoLIVEではバス停に並んでいる人数を表示するためにデータを利用していますが、人流解析や画像解析を行うことで創出できる新たなサービスの開発のためのデータを利用できるプラットフォームです。現在、機械学習を専攻する研究室では、このAPIを活用した混雑予測モデルの開発が進められています。
現在のSojoLIVE:実現した機能
リアルタイムバス情報:「もう無駄な待ち時間はゼロ」
SojoLIVEの核となる機能がリアルタイムバス情報システムです。従来の時刻表ベースの情報提供から脱却し、実際の運行状況と混雑度を組み合わせた次世代のバス案内を実現しました。
技術的実装
バス停に設置した高解像度カメラとAI画像解析により、待機している人数をリアルタイムでカウントしています。
開発成果と今後の展開
学術的貢献
SojoLIVEプロジェクトで収集されたデータと開発された技術は、複数の学術研究に活用されています:
- IoTセンサーネットワークの最適化に関する研究
- 機械学習による行動予測モデルの開発
- スマートキャンパス設計論の構築
学生による、学生のためのイノベーション
SojoLIVEは、学生が日常的に直面する課題を情報技術によって解決するという、関西大学総合情報学部の教育目標を体現したプロジェクトです。単なるシステム開発にとどまらず、要求分析から設計・実装・運用まで、実際のソフトウェア開発プロセス全体を学生主導で実践しています。
開発チーム
HITDesign Group